♢着物でお出かけしてみよう!使える工夫のアレコレ実践編―着物生活―

久しぶりの体験ルポです。昨年の夏のブログ「江戸時代から現存する浴衣の展示に着物を着て観に行きました」に続く第二弾です。

 

季節は秋でした。秋になると夏の強い陽射しも和らぎ、鮮やかな青い空と爽やかな風、色づく木々などの日本特有の美しい景色を目にすると、絶好の着物日和です。日本の風土から生まれた和服に身を包んで風景の中に溶け込みたくなります。

 

とは言え、袷にはまだ暑い10月某日。選んだのは結城紬の単衣。一目惚れして購入した反物を空いた時間に縫ってマイサイズに仕立て、早く着たくてウズウズしていて、やっとこの日にしつけをとって袖を通しました。

女性っていくつになってもお洒落をして出かけたりする事で気持ちが高揚してときめきますよね。日頃のストレスもふっとんじゃいます(笑)

 

10月と言ってもこの日は30度を越える気温で、夏が戻ったかのような暑さでした。結城紬は真綿紬と言って、繭を一度真綿にしてから糸を引いて行く紬で、そのため柔らかくて温かくて軽いのが特徴です。なので寒い日ならちょうど良かったんですけど、こういう暑い日はやっぱり暑い地方で作られる大島紬などが着やすいと思います。

でも、これが着たかったので、少しでも涼しくなる工夫をしました。今は冬なので、寒さ対策も交えて紹介いたしますね。

 

――温度調節の工夫――

 

・まず、ブログ「汗と皮脂後編 対処法のいろいろ」で書いたように、脇をしっかり晒で巻いて汗ガード。身八つ口が空いているのでそこが意外と涼しいのですが、冬はここが寒い。身八つ口は着物の温度調節の場所の一つです。寒い時は襦袢の下や、コートやショールなどで身八つ口から入る風を意識して防寒します。帯の巻き方でも変わります。

・襦袢は、振りから見えるので夏物は着ませんが、自分で縫ったごく薄の銘仙の生地の物を使用。半衿は、日本手ぬぐい。

これは実は、何度も何度も着物を着てわかったんですが、半衿の部分、つまり衿周りが厚いと温かいんです。熱が逃げないんですね。逆に衿周りが薄いと熱を逃がせるので涼しいんです。それで絹より目の荒い日本手ぬぐいを使用しました。ですから暑い時は綿芯よりも半衿の中に通すプラスチック芯の方が涼しいと思います。

・さらに同じ理由で、着物の衿合わせ(yの字に重なる部分)も、いつもより少し下げて広めに開けて、半衿が多く見える感じに着ています。衿ぐりを深めに抜いて、こうする事でかなり涼しくなります。逆に衿ぐりを少し詰め気味で、yの字を高めに合わせて、半衿の見える部分を減らせば、温かく着られます。

 

 

・そして、足袋は白を履いていますが中は素足ですから、下半身は意外と涼しい。寒い日にはヒートテックのレギンスとか、昔ならネルの腰巻きとか、足も防寒しますね。着物の中は温度調節の宝庫、夏は涼しく冬はぬくぬくです。

・最後に帯も軽い紬の単衣を使用。ひと昔前は「織りの着物には染めの帯」などと言われましたが、現代ではあまり聞かなくなりました。寒い時は帯も厚い物だと温かいです。

とまあ、こんな工夫のおかげで暑さもさほど感じず、一日中お気に入りを着てブラブラ出来ました。

 

――昭和中期のデパートの呉服売場へワープ――

 

行き先は大阪難波の高島屋史料館で開催された「高島屋創業190周年記念展 キモノ★ア・ラ・モード」。

呉服屋さんから百貨店に変わって栄える呉服売場が再現されていて、興味津々。(❋このイベントは終了しています)

 

高島屋史料館。 2020年に国の重要文化財に指定

 

当時の内装が残されています。

 

展示されている着物や帯は昭和30年代〜50年代の物。日本の文様とか古典柄の物はあえて出さず、「洋風」「モダン」「サイケデリック」な、まさしく昭和な世界。こういう着物がこんなに並んでいるのを見たのは初めてで、ワクワクしました。当時の女性達がお洒落を楽しんでいるのが目に浮かびますね。

 

 

 

ポスターやチラシ、パンフレットなどの販促品は明治や大正の物もあり、まるで時間旅行。百貨店はここから始まったんだな、と感じました。

 

 

 

こうした展示やイベントに着物を着て行くと、洋服だと気づかない係の方のサービスや、施設の整えられている部分がよくわかったりします。

コロナのステイホーム中、お家で着付けの練習を始めた方もおられるでしょう。初めて外に出る時は勇気が入りますが。思いきって出かけてみてください。

部屋で鏡の前で着付けを練習している時は、下を向きがちですが、歩くと前を向くので姿勢が変わります。その時に初めて「あっ、ここが緩んで来るのか」「ここがきつかったみたい」と気付く筈です。

それと同じように、周りの人の優しさに触れて新しい発見や出会いがきっと見つかります。

 

今年こそ始めの一歩を経験してみてくださいね。

新しい自分ともきっと出会えるでしょう。