★深色加工のスレー着物クリーニングー
深色加工は式服(喪服)に多くあり、私達は深色黒(しんしょくぐろ)と呼んでいますが、黒以外にも濃色の色無地にもよくあります。薄色には見かけません。
何故なら、その色をより濃く深く見せるのが目的の加工だからです。
深色加工とは、黒または濃色をより濃く見せるために、主にシリコン系樹脂等を使い、低屈折率被膜を全体に施す加工を言います。染料にシリコン系樹脂を混ぜて、絹のつやを消してマットにすることで、濃く見せているわけですね。
ですから、手触りもどこか違いますし、撥水効果もあります。
樹脂加工の賜で水をはじくので、汚れが付いたり、カビが出たりしてもそれらを落としやすい・黒が変色しないなどの長所もあります。
ですがこの深色黒、繊維の表面ではなく内部で樹脂加工されてるため、たて・よこの糸の摩擦抵抗が低下し、滑りやすくなっています。そのため、スレが出やすいんです。
スレだけではなく、強い折れやたるみ、強い当たり・テカリ(内部の縫い代の筋や裏衿に付けたスナップの当りが、表に白っぽく見えるなど)など、特殊加工特有の現象が起きやすいという特徴もあります。
通常の染料で染められた着物のスレを直す場合には、洗浄して、染料で色補正を施して、エマルジョン状の樹脂クリームなどで毛羽立ちを整える、というような方法で目立たなくして、また美しくご着用できるようにお直しさせて頂きます。しかし、深色加工の場合、染料は樹脂が一体化した特殊な被膜がスレによって剥がれて白くなっているため、普通の染料や顔料による補正は効果がないんです。
私達の世界で言う “色が入らない“ 物の一つなんです。スレ直しのクリームも一時的にしか効果はありません。
それからもう一つ、大切な事をお伝えしなければいけません。深色加工の場合、溶剤を部分的に使用するのは技術が必要ですから、ご家庭で衿をベンジンで拭いたりされるのは特におすすめ出来ません。
加工が動く恐れがあります。加工=色のため、輪ジミになったり、色が少し剥がれたりする場合があり、もしそうなってしまったら…これも同じく、復元する事は大変困難です。衿についたファンデーションを取ろうとベンジンを使って安易に作業するのはリスクが伴います。また、水であってもスレが起きやすく特に強いスレは復元が不可能な為、やはりリスクが伴います。
深く濃い黒を生み出すために開発された深色加工は、 漆黒 とも 烏の濡れ羽色 とも言える深い黒が人気で、式服の定番と言ってもいいくらいよく見かけます。これらの点に注意して長くご愛用下さい。お手入れは、見極めの出来る専門店にご依頼くださいね。
‶私の持ってる式服はナニ!?″
‶うちにある濃い色の色無地は!?″
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