★界面活性剤をわかりやすく解説してみましたー着物クリーニングー

界面活性剤って、言葉はたまに聞くけどよくわかりませんよね。

そこで今回は、誰でもわかる簡単な解説を致しましょう。

 

汗などの水性の汚れは水で、皮脂などの油性の汚れは油(溶剤)で落とさなければとれません、と、これまでに何度かお話しました。

 

ーーでも おうちのお洗濯は水でしか出来ないじゃない?

ーーじゃ、油汚れは残ってしまうの?

 

はい。確かに水だけでお洗濯すれば油は残ります。水と油は混ざらない。水は油に溶けないし、油は水に溶けないからです。

この「溶けない」というのがポイントで、そこには表面張力という力が働いています。そしてその水の表面張力と油の表面張力がお互いの境に境界線を作ります。界面活性剤は、その境界線をゆるめたり動かしたり、混ぜたり溶かしたりするのです。お洗濯の時に入れる洗剤に、界面活性剤は含まれています。その種類によって、油汚れも落としているんですね。

 

どうしても反発してうまく行かない間柄を、水と油の関係って言いますよね。でも、ある人が間に入るとうまく行く。そう、界面活性剤はそんな役割をしています。

 

 

溶けないものを溶かすために、界面活性剤は主に浸透・乳化・分散の3つの働きをします。簡単にご説明しますね。

界面活性剤イメージ

どんな物にも界面(表面)はあります。もちろん水にもあります。

・水にハンカチを落としてみて下さい。沈みますか、浮きますか?浮くとしたらそれは水の界面張力が強いためで、それをゆるめるための作用→≪浸透≫。

界面活性剤イメージ

 

・混ざらない水と油を一体化させて混ざり合わせる作用→≪乳化≫。

界面活性剤イメージ

・水に溶けないススのような不溶性の極小の固体(炭素)などを、水の中に散らせて動かす作用→≪分散≫。(関連ブログ〝裾の黒ずみの正体は?″)

 

お洗濯の場合、水の界面、生地(繊維)の界面、汚れの界面、それぞれを浸透させたり乳化させたり分散させたりしてゆるめて落としているのが、即ち洗剤ですね。

お料理でも、砂糖を入れて浸透させたり水と油を混ぜるのに卵や牛乳のタンパク質を利用して乳化させたり、乳化の代表的な物はマヨネーズでしょうか。

他にも化粧品や接着剤、表面加工は加工剤など、あちこちに界面活性剤は存在します。

 

また、カチオン系とアニオン系などの種類に分かれていて…という難しい話はまたの機会にいたしましょう。これまでの簡単なご説明をおわかり頂けたら、着物のお手入れのお話です。

 

着物のお手入れの時でも、界面活性剤-即ち洗剤を使った方が良い汚れもあります。

 

絹の着物を洗浄する場合、仕立て上りだと溶剤で丸洗い、水洗いは解いて洗い張り、という二通りの施術がありますが、現代ではほとんどが油性での丸洗いを希望されます。軽い汚れならそれでも充分綺麗になりますが、頑固な汚れはやはり界面活性剤=洗剤を使って水で洗った方が落とせます。衿や袖口も、何度か着用されていたら、丸洗いだけでは汗などの残りが変色の原因になります。

 

また、洗剤にもいろんな種類がありますから、私達プロはまず汚れやしみ、そして着物をよく観察し、洗剤や薬剤を選び、それぞれに応じた技術で汚れを落としたり、補正をしたり、といった作業をしています。道具も伝統的な物から最新式な物、情報も古い事例から新しい事例まで学び、向上心を持って日夜しみに立ち向かっております。

早めに処置すれば変色や生地弱りも防げますし、費用もかかりません。しみや汚れは、しみぬきをご依頼くださいね。検品、お見積りは無料です。

限界を超えた全体のカビや汚れには洗い張りをご提案させて頂くこともございます…中には出来ない物もありますが、洗い張りは和服だからこそできる素晴らしい伝統技術です。しみぬきと併用される方も多くいらっしゃいます。

 

その着物にとって何が一番いい施術かを最優先にご提案して、お客様のご要望をよく伺って、ご納得頂けるお手入れプランを固めてから、作業致します。

 

柔軟に対応させて頂きますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

ちなみに…柔軟剤も界面活性剤の一種なのです。(というオチでした)。