★着物のカビ、あきらめないで!綺麗にしてさらにカビを防ぎます。―着物クリーニング―

現代では、着物の一番の大敵は“カビ”でしょう。マンションやクローゼット収納などの高い気密、虫干しの習慣が減り、たんすに入れっぱなし、着る機会の少なくなった留め袖や振り袖など、日本人の生活が昭和より大きく変わったからかも知れませんね。(ブログ:絹で作られている着物は湿気が大敵です

調べてみると、カビが発生する時は、「湿度60%以上」「5〜35度の温度」「栄養(タンパク質、食べカス、ダニなど)」「酸素」の4つの条件を満たした時なのだそうです。この条件って、人間が普通に暮らしている毎日の生活と同じですよね。日本で人間が生きやすい環境が、カビも生きやすい、身近にあるという事ですね。

 

カビの種類は何十万単位と言われるくらい多いようですが、色で区別するとわかりやすく、黒・赤・青・緑・黃・白に分類されるカビが存在します。お風呂場や食品、人体などどこにでも発生しますが、着物に発生するカビで特に多いのは、白カビと黃カビです。

 

 

衣類やカバン等に、白いフワフワとした埃のような雪のような物がついているのは、誰でも見かけた事があるのではないでしようか。食品にも発生しますね。着物も、黒地や赤、茶、紺などの濃い色の生地に出ていると、白カビは目立つのですぐわかります。たとう紙の中で重なり合う、特に通気性の悪い一部に多く出ていることもよくあります。

白カビは出始めた頃はポツポツと少なく、まだ繊維の奥まで根を張っていないので、新しいカビなら払って落とすこともできます。特に撥水加工されていると有効です。吸い込まないようマスクや手袋をして、また生地が擦れたりしないよう気をつけて下さいね。

 

ですがご存知のようにカビは増殖して行きます。目に見える所のカビは払い落とせても、縫い代の中に残っているかもしれません。それらを放置しておくとやがて広がり、根を張って変色し、生地も酸化して劣化していきます。ですから早めに処置するのが一番いいですね。

 

 

昔は、「曝涼(ばくりょう)」という方法でカビを退治していたそうです。いわゆる虫干しですが、現代と違うのは、夏の暑い季節に太陽に当てるのだそうです。現代では、直射日光に当てるなんて考えられないですね。でも考えてみたら、カビは高温と乾燥を嫌いますから理に叶っているとも言えるし、布団なんかも天日干ししたら、さわやかに除菌された感じになりますね。また、古い着物を解く時、糸がきしんで解きにくい時は太陽に当てれば良いとも聞いた事があります。虫干しと言えば陰干しが鉄則と思い込みがちですが、確かに日光に当てても褪色しない着物もたくさんあるし、普段も着物を着ていた昔の人の知恵ですね。ただ、よそ行きに着用することが増えた現代では、日光に当てられるかどうかの見極めは、慣れていないと難しいので、一概におすすめしますとは言えないのですが。

 

でも、曝涼が有効なのも表面的な軽いカビまでです。その段階ですと有機溶剤の丸洗いでも綺麗になりますし、洗い張りだともっとスッキリします。でも白カビもたくさん表れたら中には根を張るのもあり、カビによるスレや色抜けも生じてきますし、払っても洗っても落ちません。さらに、たとう紙や胴裏、襦袢などに黄色いしみがたくさん現れたら、これは根を張っていますし、変色ですから、しみぬきが必要になります。黄色いしみ(黄変〈おうへん〉と言います)になる前段階の軽いカビの時に見えなかったり、目立たなくてわからない場合が多く、放置されていたのでカビの段階が進んでしまったのです。ですから、胴裏やたとう紙のように白いものや、薄い色の襦袢や着物は、気付いたら黄変がたくさん出ていてショック…なんてことが起きるのですね。黄変は、ドライクリーニングで丸洗いしても、洗い張りしても残ってくるので、一つ一つ叩き洗いし、その上で漂白します。(ブログ:塩素系漂白剤に気をつけて!)黄変の段階では、この漂白も有効で、また綺麗に甦ります。が、胴裏や八掛けなどの薄い生地の黄変は、見た目より濃度が濃いため、完全には取りきれません。

 

黒地の白カビ

胴裏の黄変

カビによる色抜け

 

その黄変を「まだいいかな…」と放置していると、さらにカビが進んで茶褐色の濃い変色になります。こうなると繊維もかなり傷んでいるのであまり強引な漂白は出来ませんが、大体60%くらいの確率で綺麗になれます。しかしそこからさらに放置すると、生地が脆化(ぜいか)して、もう破れてしまうので、しみぬきは出来ません。染め替えも出来ません。

 

所々に深いカビになっている所が見受けられます。

 

 

―――こんな風に、着物のカビには段階があるんですね。

 

第1段階

白いカビがポツポツ

払い落とせる。

第2段階

白いカビがたくさん

払っても部分的に残る。スレや色抜けが出る。

第3段階

黄変が出る

丸洗いとしみぬきと染色補正で綺麗になる。

第4段階

黄変が茶褐色になる

 

綺麗になるのは60%くらいだが、まだしみぬき可能。

第5段階 

脆化

 

 

しみぬき不可、染め替え不可。金加工、パール加工、柄足しなど、上から隠ぺいする加工や、繰り回し、仕立て替えなどで着用出来る。またはリメイク。         

 

第4段階(茶褐色の黄変)

パール加工

 

このように、ほとんどの物が綺麗になるので、あきらめないでくださいね。それに早期段階ほど金額も安価です。脆化しても、隠ぺいする加工によっては、それほどかからない物もあります。お気軽にご相談下さい。お見積りは無料です。

また、しるくらんどでは、防カビ抗菌抗ウィルスの強い味方、「デオファクターキモノ」加工をご用意しております。高濃度天然ミネラルで無害、空気中の有害物質を分解して着物を守る優れものです。

また、長年多くの方に御利用頂いている窒素ガスを充填してカビを防ぐ「しるくパック」もございます。電話メール、LINEなど、いつでもお問い合わせくださいね。

 

上:しるくパック 下:デオファクターの説明書

 

着物は着る物、気持ちよく着用して、長く楽しみたいですね。