★金が錆びる!?金に変色を見つけたら要注意。 ―着物クリーニング―

色とりどりの華やかな模様に、キラキラと輝く金箔や砂子、金糸目(きんいとめ)などの金彩。

 

金箔

型刷りの金彩

砂子

金糸目

 

京友禅に代表される、着物の美しい模様の技法の一つです。着物ならではの特徴で

もあり、思わず見とれてしまいますね。一度はこんな着物を着てパーティに行ってみたいものです。

 

 

ところでこのキラキラと輝く金彩。  よく見たら着物や柄によって、色や輝きが少しずつ違う事にお気づきでしょうか?金色にもいろいろな金色があり、色や粒子の大きさ、光沢などがそれぞれ異なります。柄付けのしかた、つまり加工の方法もいろいろです。

 

その中でも、今回は ¨錆びる金¨ の解説をします。本物の金なら錆びませんが、先程申し上げたように、いろんな「金色の物」が使われているのです。

 

―金加工が錆びると生地が弱ります―

 

金加工のダメージ例はいろいろありますが、今回は緑青(ろくしょう)になるものにスポットを当てます。緑青って銅に出る錆びであることはご存知ですね。そうなるのは、金の代わりに真鍮(しんちゅう)が使われた場合です。真鍮、つまり金メッキには、銅と亜鉛が含まれています。(ブログ・衿スナップボタンの錆び参照)そのため、錆びると緑青、緑色に変色します。湿気の多い所に長年保管していた場合。また、ゴムやウールなどの、硫黄の発生するものと一緒に保管して、錆びる場合もあります。

    着物の柄には、糸目と呼ばれる細い線があり、その部分に金が使用されることも多くあります。花の茎や葉脈等に使われていると、緑色や墨色に変色していても何も違和感がないため、錆びていることに気付かない方もおられます。が、もしルーペをお持ちなら拡大して見て下さい。金色の欠片が残っていませんか?その緑色の茎は、元は金色だったのです。

 

元々は金糸目だったことがわかります。

 

緑青になっていると、そこはもう錆びて生地が弱っています。何かの拍子に強い力が加われば、そこが破れることもあります。

 

錆が進んで生地が弱っています。

 

さらに注意すべきなのは、「柄の打ち合い」です。長年湿気のあるたんすに入れっぱなし、特に何枚も重ねて圧を加えたりしていると、打ち合いと言って、柄移りの現象が起きます。打ち合いは、樹脂や顔料、金箔、刺繍糸の色などにも見られる場合がありますが、中でも一番厄介なのがこの「錆びの打ち合い」です。

 

 

例えば金糸目が錆びると重なる生地に打ち合うだけでなくその生地の裏側、柄の裏側、その向こうの生地と、何枚も突き抜けて移る場合もあり、これはもう洗っても薬品を使っても取れません。上から柄を描き足しても、下の錆びはやがてまた出る可能性が高いです。錆びやタンパクは生地と一体化するほど深く結合するため、無理にとろうとするとこちらも破れてしまうのです。(ブログ・衿スナップボタンの錆び 参照)

 

―そうならないためには―

 

これを防ぐには、やはり乾燥させておくことが大切です。よく着る着物の方が防げます。着る機会の少ない物は時々風を当てて、引き出しに何枚もギュウギュウに詰め込まないようにしましょう。(ブログ・絹で作られている着物は湿気が大敵です 参照 )

 

防虫剤や除湿剤はその成分のガスが出ているので、何種類も併用すると混ざって変化する場合がありますので、離して置くなどご注意ください。

ゴムやウールも、銀や銅を変色させる硫黄が発生するので同じ衣装ケースに入れない方がいいですね。

※このあたりのお話は来週のブログ「たんすの中で起きる四つのガスやけ」で詳しく解説いたします。

 

ちなみに緑青は昔、有毒と言われていましたが、最近の研究ではその根拠は無いと言われています。

 

成人式、結構式…思い出の着物はいつまでも綺麗に保ちたいですね。しるくパックも効果的です。お困りの際には、一度ご相談くださいね。