☆リサイクル着物を買う時に失敗しないために①着物編 ―着物雑学―
着物は三高(価格、敷居、格)とも言われていますが、その一方で気軽に楽しめるリサイクル着物は、SDGsやリユース時代の現代でも大人気です。古い着物にしか出来ない楽しいコーディネートは、SNSにも溢れていますし、今やリサイクル着物は着物デビューの立派な入口の一つです。弊社ツカモト市田でも、「花襲(はながさね)」というリユース着物も扱う呉服のお店を大阪の船場センタービルにオープン致しました。
そこで、リサイクル着物を買う時にの注意点を順を追ってお話して参りましょう。今回は「着物編」です。帯や羽織などの他の品についても次の機会にお伝えいたしますね。
⑴ お店選び
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ネットで買う場合
ネットで買う場合には、初めての方や慣れていない方は一人で選ばずに着物に詳しい人に相談しながら進めた方が良いですね。慣れている方でも、風合いや弱りや臭いまではわからないので、「実際に手にとって見るまでは決めない」とか、「失敗しても仕方ない」とかの、マイルールを設定しておくといいかも。
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お店で買う場合
さて、お店選びです。リサイクル着物のお店は極端に千差万別で、お祭りや市(いち)で見かける露店から、新品と変わらない物や高級品を扱う店まであり、値段も全然違います。扱う品物の種類の違いや仕入れルートの違いもありますが、大きな違いは、「一枚一枚検品されているか」だと言えるでしょう。仕入れ、買い取りの際に値打ちや状態を見極めて選び、地直しをして綺麗にしてから販売しているお店もあれば、いろいろ混ざっている古着を選択せずに一箱単位で安く仕入れて売っているお店もあります。とはいえ着物は一点物との出会いですから、お祭りや市で一目惚れしてつい買っちゃった、というのも女心です。失敗したって安ければ授業料だと慰めもつきます。ですから、どのお店が良いとか悪いとかではなく、ここでは違いを知っておいて下さいね。
ところで、「失敗」とは何でしょう?
⑵ 失敗とは、買っても着られない着物
A. お直しが必要かどうか
まず第一にこれです。買ってすぐに着られるのがベストです。着物に少し慣れて来たら、ここまでは御自分でもチェック出来ますが、肝心なのはここからです。
B. 直せるか、直せないか
直せない着物は着られませんから、これが「失敗」です。リメイクなどで有効活用出来る場合はまだ良いんですが、それも出来ない場合もあるのでご注意くださいね。安い!と喜んでも使えなければ困るだけです。
では、具体的にどういう点に気をつければ良いのでしょう。
⑶ 古着を買う時にチェックする所
「サイズ」「シミ、汚れ、変色」「カビ、虫食い」「焼け、褪色」「生地弱り、縫い糸弱り」「破れ、擦り切れ、ほつれ」「臭い」「検針されているかどうか」は、チェックしたい所です。それがあったとしても、直さなくて良いもの・直せるもの・直せないもの、に分かれます。直せないものは困りますよね。一つ一つ見て行きましょう。
①サイズ
買う時はなるべく試着したいので、動きやすい洋服で行きましょう。着物は着て行かない方が良いですね。露店とか、試着スペースが無いお店もあるので注意。御自分の「裄、身丈、身幅」をマイサイズの着物から計っておくとか、長襦袢を持って行くのも良いです。それも無ければ、身長、ヒップ、裄を測るか、もう羽織ってみるのが一番です。合わなくても着付けでなんとかできる範疇なら良いのですし、大き過ぎる場合には仕立て直しが可能です。小さい場合は、縫いしろや内揚げの状態や足し布は直せる場合と直せない場合があるので注意。また、袖丈が短い場合は足し布が出来ないので注意。
②シミ、汚れ、変色
「少しシミあり」の場合は、位置により、目立たなければOK、目立ってもしみぬきでとれる場合はしみぬき代はかかりますがラッキーです。全体にシミの多過ぎる物は高くつきますが、綺麗になるならまだ良いとしましょう。でも、シミ、繊維素材、染織、の種類によってはとれないこともあり、その場合でも「繰り回し」が出来れば大丈夫です。
つまりしみぬきも繰り回しも、どちらも全て可能というわけではないのです。
ですから「とれないシミが繰り回しの出来ない着物(又は位置)にあるもの」は、直せません。
例えば、絵羽(一枚の絵になっている)物の場合、繰り回しは出来ないので、柄足しが出来ない位置のとれないシミは直せません。また、繰り回しには最終地点があるので、すでに最終地点のものは、繰り回し済みの時もあり、それ以上は出来ません。(繰り回しについては、またの機会に詳しくお話しますね。)
③カビ、虫食い
どちらもポツポツ見えたら全体にあるかも?と思ってチェックしてください。カビは丸洗いが出来る着物なら洗いに出しましょう。中には洗い張りが必要なものや、生地が弱ってたりして出来ない物もありますし、変色や擦れは丸洗いでは直りません。また、どちらも縫いしろの中は解いてみないとわかりません。虫食いも場合によっては直せない事もあります。
④焼け、褪色
焼けや褪色は、広げてみないとわかりません。肩山袖山や、わき、背など、たたんだ時に折り目になっている所にライン状の焼けや褪色が出やすいので、折り目をチェック。暗いライトだとわからない事もあります。更に、縫いしろを広げて寸法直しをしたくても、そこにかなりの色の段差が出来ている場合は、縫いしろの方が色が濃いため、褪色している地色に合わせる事は出来ません。その場合は縫いしろに合わせて地色を全部替える染め替えのような事になります。特に青系の物は完全には直らない事もあります。
⑤生地弱り、縫い糸弱り
年代物の古い着物は元々薄い生地や、洗い張りを繰り返して薄くなったのもあり、着てると破れる事もあるので注意しましょう。また、部分的に弱りやすいのは、お尻付近と、上前の膝付近、袖付けに近いわき、などがあり、わきは目立ちませんが、膝とお尻は直せない事が多い所です。縫い糸弱りは、かなり古い酸化した厚手や濃い色の物に見られる事があり、お直しは可能ですが大がかりになります。
⑥破れ、擦り切れ、ほつれ
ほつれはお直しは可能、御自分で出来る場合もあります。破れや擦り切れは、位置と大きさによります。擦り切れやすいのは裾と袖口ですが、ここは大抵お直し出来ます。それ以外の位置だと、繰り回せない場合は、素材によってはお直ししても目立つ事もあります。
⑦臭い
臭いについては、詳しくはブログ「着物の気になるニオイを消したい!実験結果に期待大」をご参照のうえ、とれない臭いもあるのでご注意ください。
⑧検針済みかどうか
古い着物は、ご家庭で縫われている場合もあり、今になって中から針が出てくることも稀にあります。お店に検針機が設置されていたり、検針済みとわかれば安心ですがわからない時は、弊社ですとお手入れに出された着物は全て検針致しますので、最寄りの専門店でもお尋ねしてみて下さいね。針がなくても反応する場合もあるので詳しくはブログ「針もないのに検針機に反応する着物」をご参照ください。
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こんなにチェック出来ないわ…
という方のために、一定水準以上のリサイクル着物は、これらのチェックを済ませて失敗する品を省いたり、洗いや修理が済ませてあるので、すぐ着られる状態の着物が多くあります。もちろん大阪の花襲でも良い品物をお求めやすい価格でご提供致しております。わからないことはスタッフが優しく対応致しますので、なんでもお気軽にお尋ねください。慣れてきたら、露店でお宝を探すのも楽しいですね。リサイクル着物も上手く活用して、ますます着物ライフを楽しんでくださいね。