♢襦袢がはみ出る⁈着物を着る前にこれだけは確認しておきたいこと―着物生活―
毎日着物のお手入れの仕事をさせて頂いてますと、着るために様々な工夫が施されているのを時々見かけます。特に襦袢は工夫とアイデアの宝庫です。一番多いのは、着物と襦袢の裄(ゆき:背中心から袖口の丈)が合ってなくて着物からはみ出るため、それを押さえるために工夫されたものです。
着物、又は襦袢がご自分の寸法に誂えた物でない場合は、着慣れている方は予めマイサイズにお直しに出しておいたり、少しの差ならご自分で縫い上げされるなどして、寸法を合わせておかれるのですね。着慣れていない方や初心者の方は、着付け師さんがその場で応急的に処置される場合も多くありますが、それは人によります。ご自身の周りに着慣れている方がおられたら、着用日までに見て頂くといいですね。でも、そのどちらも叶わない場合もあるでしょう。当日になって慌てる事のないように、今回は必要な物を揃えてご自分でもチェックできるポイントをお話致しましょう。
ーーーこれが身につける物全てですーーー
着物を着る予定が出来たら、コーディネートを考えると同時にせめて一週間くらい前から、身につける物を揃えて確認しましょう。長い間たんすの引き出しに入っていた着物は、たんすの匂いや折れ筋がついているかも知れませんから、早目に着物ハンガーに吊るして陰干しして、風を通しておきましょう。
身につける物は、標準的に次の物です。
1、襦袢関連
ここでのチェックポイントは、③の「半衿がついた」という所です。着付け師さんが慌ててその場で縫い付けた、という経験談もたまに聞きますが、時間が足りなくて大変です。襦袢には、必ず当日までに半衿をつけておきましょう。専門店でも安価でつけてもらえます。
①②は、きものスリップなどでも構いません。④衿芯は、三河綿芯などを直接、地衿に縫い付ける場合など、必要ない場合もあります。(なお、補正下着類などは、人によって様々ですので省略してます)
2、着物関連
ここでチェック出来るのが襦袢が着物からはみ出さないか、です。たたんで重ねてピッタリだと安心しても、実際に着た時に体の厚みが付加するためはみ出す場合があったり微妙に変わります。服の上からでも良いので襦袢をまず羽織ってみて、上から着物を着てみるのが一番確実です。着られない方も、裄はチェック出来ます。たためない方は、当日まで着物ハンガーにかけておけば大丈夫です。
〈裄にはみ出しが起きる原因〉
①着物か襦袢のどちらかの裄が短い場合や、②裄全体の長さは合っているけど肩幅と袖幅の配分が違う場合、③着物の袖丈が長い場合④丸みの形が大きく異なる場合 などで、はみ出しが起きるので、どこが原因かを見極めて、合わせます。慣れれば簡単です。でも、数ミリとか、少し出るくらいならそう気にすることはありません。逆に数センチ以上とか、違い過ぎると応急処置ではどうする事も出来ない場合もあります。
もちろんどちらもマイサイズに仕立ててある場合は大丈夫です。
②ひも2本は、④コーリンベルトやゴムのウエストベルトでもOKです。
3、帯関連
ここで帯の固さと長さに注意。と言っても慣れてない間はわかりませんよね。例えば、初めて使用する帯は固いし古い帯は短い、という事が多いです。ご自分で着られる場合は、服の上から前板だけつけて一度結んでみましょう。帯は着慣れている方でも、結びやすい物や結びにくい物とそれぞれ個性があります。着付けをお願いする場合には当日までに見せておきたい所です。
以上が、最低限身につける物です。ひもや伊達締めなど、小物類も故障などチェックして下さいね。体格も人それぞれ、また気候やシチュエーションによっても、装備はいろいろ変わります。
そしてこれとは別に「着付けに必要なもの」も、やり方によって様々ですが、よく使われるのは、仮ひもやクリップばさみなどです。着付け師さんに依頼される場合はいりません。
それから、忘れてはならないのが、草履と鞄のチェックです。もし何年も使わずに仕舞っておいた物なら、早目に取り出して確認しましょう。カビやシミが出ていたり、樹脂が劣化していませんか?数年ぶりにウレタンの草履を履いて歩いてると出先でボロボロになった例もよくあります。
〈お裁縫が苦手な方は…〉
時間が無い場合もありますよね。袖山の真ん中あたりに10円玉を輪ゴムで留めたり、安全ピンを使ったり、いろんな工夫があるようです。お友達同士でアイデアを出し合うのも楽しいですね。
備えあれば憂いなし。やってみると意外と簡単、そう時間もかかりません。着心地良く気持ちよく着物シーンを楽しんで、素敵な思い出を増やしてくださいね。