裾の黒ずみの正体は?(着物の汚れ_その1)
気が付いたら着物の裾が黒ずんでいて、はっとしたことはありませんか?
シミには正体があります。つまり成分ですね。ですから、何がついたか分かっている方が、
しみ抜きはやりやすいのですが、
- 何もついていないのに、着る回数を重ねていくうちに裾が黒ずんできた…
これってなんでしょう。
- 泥ハネがついた…
泥ハネって言うけど、山の中の土の上を歩いたわけではありませんよね。
この場合の泥ハネとは着物の裾の付近に汚れた水が飛び散ってついたものを言います。
裾の黒ずみの原因は、静電気が吸い寄せたと考えられます。(衿や袖口の黒ずみは、皮脂など別の理由もあります。) 泥ハネは、物理的に水溜まりやぬかるみで汚れが飛び散ってついたわけですが、この二つの事例には共通点があります。
その汚れの正体は、すごくすごく細かいミクロの粒子の溶けない個体だったんです!!
例えば米粒のような大きな個体で、繊維の表面に乗っていて、たて糸と、よこ糸の間にまで入り込んでなければ、爪で弾けばとれますね。入り込んでいても、大抵の場合、水で洗う際に水圧などで動いてくれます。また、染料のように液体または、溶けて液体化する物ならば、脱色したり、漂白したり、化学分解することができます。
でもこれは「不溶性」なんですよ。
泥ハネや、静電気の黒ずみって、液体ではないのですが、もう繊維の中の組織のなかに止まっている固体で、顕微鏡レベルのものなので、そこに絡まってしまうと、水でも、油でも、薬品でも、動かすのは困難になります。
では具体的にどういうものかというと…水、土、油の他に、空気中の車の排気ガスのすす。道路を走る自転車やバイクのタイヤカス(細かいゴム)。微量に砕けているアスファルトの粉塵。カーペットの目に見えないちぎれた繊維。その他、状況によって異なる様々な性質の汚れが組み合わさって、黒ずみになっているのです。まさに異種コラボの汚れです。
これは不溶性の汚れですから、乾燥させて、手や専用のブラシでよくはたき落とすのは効果的ですが、水で叩いたりすると擦れたり、一番動かせない繊維の奥深くで止まってしまう事もありますから、やめてくださいね。専門店に相談しましょう。
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